新・東京イラストJournal

イラストレーターのさくらみの日常絵日誌

人生では、必ず自分に会いに来てくれる人がいるというお話

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ユング心理学の中に、

「人生の正午」という考え方がある。

 

曰く、

人生前半の若いうちは「午前中」にあたり、

勢いのある太陽のような強い光に目を奪われ、

 

自分もその明るい光になりたい、いや、

なれるはずだ、と根拠なく思い、

不器用ながらも、あれこれ悩んだ挙句、

自分なりのやり方で

理想を目指して突き進んでいく。

 

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ところが、年を重ね、いつの間にか

「人生の正午」を通り越し、

ふと気が付くと、午後2時を超えていた…

 

あ、日が落ちてきた、

と気づくのはその時だ。

 

 

 

これからの人生では、

良くも悪くも太陽はぐんぐん

沈んでいくのだと、

身にしみて悟り始める。

  

光が弱まっていく代わりに

影のほうが長く長く伸びていくのが

視野に映るようになる。

 

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これがミドルエイジの始まり。

 

体力、性力、気力の低下に加えて、

きつい昇進、不本意な職場、住宅ローン、

リストラや転職、子どもの親離れ、

自身の病気や離婚、親の介護や死亡など、

いろんな個人的要因も重なって、

道半ばにして、

まだ何もなしえていない自分に気づき、

人と比べて劣等感や羨望、嫉妬の渦に

からめ取られたり、

価値観がぐらぐらと揺らぎ始めたりする。

 

「これでよかったのだろうか?」

「自分は何のために生きているんだろうか?」

 

若い頃は、無限に広がっている!と

信じていた人生が、

思ったほど自分の理想に近づけぬまま、

気づけば下りの坂道に入っている?!

 

「いや、まだまだ!!

 これからもう一踏ん張りだ!」

と弱気になりそうな自分を叱りつけ、

葉っぱをかけるも、

気力体力が追いつかない。

 

こうして、この時期、人は初めて、

自分の影に向かい合うようになるのだそうだ。

 

 

これは人間であれば

ほとんどの人が経験する人生の過渡期で、

ユング自身も経験したし、

有名な歴史上の人物や、ハリウッドスター、

人生負けなしに見えるお笑い芸人さん、

元人気アイドル、女優さんや俳優さん、

誰もが名前を知っている企業家など、

ずーっとスポットライトを浴びて生きてきた

ように見える人たちも、ほとんどが

ぶつかる壁なんだって。

  

心理学用語では、

「ミドルエイジ・クライシス」

(ミッドライフ・クライシス)

と名付けられていて、

この人生後半の危機を乗り越えるには、

けっこう長い時間も必要なんだとか。

 

 

なるほどね〜。

 

私も30代の

「怖いものなし」の勢いのあるときや、

(↑午前11時頃ね)

その後の年齢でも、

「あのときが自分の午後2時の曲がり角

だったなー」とか、

思い当たる節がたくさんある。

 

人生の中に転機と言われる時期は

たくさんあるけど、

たぶん、その真っ最中にいるときは

よく分からないまま無我夢中で

乗り切ってて、

「言われてみれば、あのときが転機だった」

とか、

「あの辺りから、自分の影の方が見えてきた」

とか、

ある程度の時間が経ってから、

振り返ってみたときに、

初めてわかるものなんだろう。

 

特に、若いときは、こういうのって

本当に全くわからないし、理解できない。

 

でも、今、この年代になって、

この「ミドルエイジ・クライシス」って、

悪くないよ、ううん、すごくいいじゃん…

と思う自分がいる。

 

特にいいなと思うのは、

若いときに、見て見ない振りをしてきた

自分の「影」の部分に、今こそ

初めて向き合えるということ。

 

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新しいタイプの「壁ドン」ね(笑)

   

つまり、それまでは半分の自分でしか

生きてこなかった。

 

自分の一部を、無意識のうちに切り捨てて

「自分はこういう性格だから」などと、

たくさんの言い訳の殻を作り、

無自覚のうちに生きてきた。

 

きっと午後2時辺りまでは、

それでもどうにかなるのだ。

 

でも、ミドルエイジになったとき、

その切り捨ててきた影が、自分に会いに来る。

否応無しに来る。

 

♪来る…きっと来る♪

 

貞子より間違いなく「来る」のよね。

 

そのときこそ、影の自分からのメッセージに

向き合わざるを得ない。

 

自分の影のメッセージは、おおかた

はこんなことなんだそうだ。

 

 

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今まで取り残してきた人生の課題が

照らし出されたら…

 

勇気を出してちゃんと眺め、

次に抱きしめる。

 

そっと自分に統合する。

 

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逆に言えば、自分がどんなに拒否しても、

向こうから絶対会いにきてくれるんだから、

ありがたいわけです。

 

ちなみに、ここで、

その半身を拒否してしまうと、

心や身体に病気が出てしまうんだそうな。

 

だから、

時間がかかってもいいから、

少しずつ、あきらかに見る。(諦める)

少しずつ、受け入れる。

 

新しい気持ちで、今までしてこなかった

ことをしてみたり、

新しい人に会ってみたりする。

 

 

だんだんと半人前を卒業して、

本来の人間のあるべき自然の姿に戻れたら、

人として、さらに深くて成熟した人生が、

待っている。

 

新しい扉がまた開く。

 

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あたりはもう、夕暮れ時だけどね。

 

夕暮れ時って美しい。

 

なんか、人間ってよくできてるなぁと

しみじみ思うよ。

 

 

私も今、ようやく自分の影に寄り添って

生き始めている。

 

ああ、そうか、自分の置いてきた、

もう一つの人生を生きているんだなと思うと、

影との出会いはありがたくて切ないほどだ。

 

思えば、いろんな人が、私のこの道を

助けてくれてきた。

 

もちろん、これからもいろんな転機が

あるんだろう。

 

これから、身体が年を経るごとに、

少しずつ心の角も取れて、

丸くなって、自由になって、

いろんなことが有り難くて有り難くて

たまらなくなって…

 

できないことが増えて、

選択肢が減ることは、 

迷いから自由になることでもある。

 

でも、

きっと自分が生まれてきた意味なんて、

最期のときにしかわからないんだよ。

 

だから、たったひとつの人生を、

最後まで続けてこそ、 La Vie en Rose.

バラ色の人生だよね。

 

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みなさんも、いつか、美しい夕暮れ時をね。