新・東京イラストJournal

イラストレーターさくらみの日常絵日誌

無意識のふた

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前にも同じ言葉↓を書いたことが

あるのですが、

 

「皆さんは、夢をよく見ますか?」

 

私は、よく見る方で、しかも

その内容を、これまた、よーく

覚えているのです。

 

忘れてしまいたい夢ばっかり

なんですけどね。

 

夢の中では、

ものすごくたくさんの事が

起こります。

 

そして、登場人物も、場面も

どんどん入れ変わります。

 

例えば、現実で、色々な人と

直接会っておしゃべりしたり、

メールやLINEや手紙などで

やり取りをした日は、

夢にもたくさんの人

(それも、なぜか、その日

 やり取りした人ではない人)

が出てきます。

  

そして、夢の中では、

たいていのことがうまくいきません。

 

さっき、一生懸命、

お掃除をしたところに、

アレ? 黒い水が吹き出してきた!

キャ〜! 皆さん、足をよけて!!

 

お鍋がグツグツ煮えているのに、

菜箸がない!

皆さん、お腹すかせて待っている

のに、探しても、探しても、

どこにも箸が見つからない。

どうしよう〜!

 

たくさんの人の前で、大切な

発表をしなきゃいけないのに、

アララ? 服がすっごい変な

組み合わせ! 

毛玉もついてる。

はー、もうヤダー…

 

そう。夢の中では、

「皆さん」に対する意識

(=自意識)が、

じつに過剰です。笑

 

ロールプレイングゲームなら、

何度も奈落に落っこちている感じ。

 

夢の中で切実に悩むので、

目が覚めたときは、

「あ〜、夢でよかったー」と

心底、安堵します。

 

どうやら、私は、夢の中より、

現実の世界のほうが、

ずっとうまくいっているみたい…

 

いや、逆に言うと、夢で大変な目に

合っているからこそ、

無意識が調整されて、

現実の生活では、そこまでひどくは

ならないそうです。

 

以前書いた、同じ書き出しの記事にも

こんなのがありました。

   ↓

sakura-cafe.hatenablog.com

 

上記の記事で出てきた

河合隼雄先生の本と言えば、

 

他にも

村上春樹さんとの対談本が

面白かったです。

 

そこで出てきたのは、

やっぱり「夢」の話。

 

村上さんは河合先生に

「僕は夢を見ないんですよ」と

言うのです。

 

すると、河合先生は

「それは、小説を書いておられるから

 ですよ。

 特に『ねじまき鳥クロニクル

 のような物語を書かれている時は、

 現実と物語が完全にパラレルで、

 夢を見る必要がないのですよ」

というようなことをおっしゃっていました。

 

 

村上さんは、のちに、他の本の中で

河合隼雄さんに

 『僕は夢を見ないんです』

 と話した時、

 『それは小説を書いているからですよ』

 と言われて、とても安心したことが

 あります」

と書いておられたのですが、

  

やはり、夢には、役割があって、

特に、全人類共通の、

深層心理にある「影」の部分

が色濃く出るようです。

 

村上さんの小説は、お好きな方は

よくお分かりかと思いますが、

まさに深層と表層の二つの心理を

そのまま追いかけていくような、

そして、オモテがウラになり、

ウラがオモテになるような、

深い深い物語ですよね。

 

村上さん自身、どうして物語の中に、

自分でも思いがけない

性的なシーンや、戦争の

残虐なシーンが出てくるのか

分からないまま、井戸を掘っている

とおっしゃっていました。

 

でも、そもそも

「残虐性」や「暴力」が微細に、

描かれている小説は、

とても多いですし、

テレビドラマでは殺人事件が

毎日流れていますよね。

 

それも、

よりおどろおどろしいシーン、

赤裸々なシーンが出てこないと、

なぜか盛り上がらなかったりして。

 

それはやっぱり、

どんな聖人君子であろうとも、

食欲や性欲と同じように

怒りや残虐性も持ち合わせているのが

普通の人間なんだけれども、

 

社会的には、そういう影は一切

持っていないフリをして

生きていかねばならないからで。

 

逆に言えば、だからこそ、

ほとんどの人が、実人生で、

残虐性とは無縁の生き方が

できるわけです。

 

なんとも不思議な、心のカラクリ。

 

ふだん、心の奥底に、フタをして、

深く深く閉じ込めている「影」…

 

夜、寝ている時は、無意識に、

そのフタが開いて、「影」が

出てきちゃう。

 

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そして、

 

小説家や漫画家や脚本家などの

表現をする人が、

昼間、起きている間にも、

その「影」を取り出して、

作品として、誰でも眺めて共有

できるようにする為には、

 

やはり一回、

とことん深い井戸を掘って、

作家が自ら、死を体験しなくては

ならないわけで…

 

それはやっぱり、とても

大変な作業だと思うのです。

 

 

そして、大作家ではない私たちも、

多かれ、少なかれ、

日常では、何かを表現しながら

生きているので、

 

夜は夢の中で「死」のようなものを

体験している、

ということになるのかもしれません。

 

私の場合は

ちっぽけな自意識の「死」ですが、

一時期、夢見があまりにも疲れるので、

明晰夢」の手法

(夢の中で、これは夢だとわかって、

 自分で内容を作り替えていく手法)

も、試してみました。

 

でも、うまくいかず、結局

いつものように

「ま、いっか〜」となりました。

 

だって開けたくなくても、フタは

勝手に開いちゃうわけですし、

 

それに、

「現実に戻って、よかった〜」

と思えるのなら、ま、

幸せなことですもんネ。

 

(そしてさらに言えば、

 本当は、現実も、

 夢なのですけどね…!)

 

 

さーて、

今夜は果たして、

どんな情けない冒険が

待っているのかしらね。

 

変な夢だとしても、それは

自分の大事な相棒で、大切な一部。

 

一緒に抱きしめて生きていきましょ。

 

皆さんもどうか、いい夢を♪

 

 

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