「今この瞬間、この場所に、全宇宙が開いている!」

イラストレーター佐倉みゆきの「今ここ絵日記」 Art journal from Tokyo.

「静けさ」の中の豊かさ

イラストレーターという仕事は、

なかなかに時間がかかります。

 

私は躊躇せずに、

すぐ描き始める性格というか、

性質なのですが、

描いたあとが、べらぼうに長い…。

 

何度も何度も、外出先や

電車の中などで、

描いた絵を小さくした画像を見ては、

気になるところ、おかしなところが

ないかを見直していきます。

 

描いたとき

「これは直しなしでいけそう!」

とどんなに思っていても、

見直したときの第一印象で

「あー、ここ、直したい…」

が必ず出てくるので、

ほんと、長い時間がかかります。

 

さらに、何かまったく別のイラスト

のお仕事をして、また、

元のイラストの世界に戻ってくるとき…

 

同じイラストでも、

まったく時空が変わるので、

この世界は一からやり直し〜

みたいになって、

少なからず「間合い」が必要になります。

 

そんなわけで、

「30年近くイラストレーターを

 やってたら、イラスト、

 ちょちょいのちょいで

 描けるでしょ?」って

おっしゃる方もいらっしゃるのですが

とんでもない。

そんなにうまくは進まないです。

 

ただ、締め切りだけは守るのが、

イラストレーターとしての

私の信条。

 

前置きが長くなりましたが、

今年は猛暑もあって、

イラストもたくさん詰まっていて、

お茶のお稽古に

なかなか行けなくて…

 

久しぶりにお稽古に伺ったとき、

本当にはっとしました。

水をうったお庭の美しさ、

深い色合い、

先輩がお稽古をされている音、

先生のお声、

お道具の位置を正すときの佇まい…

 

「ここにしかないものがある」

 

…と、身体中が感じて、

なんというか…打たれました。

 

 

特に、音。

 

静かなのに、ものすごく豊かで…

 

すごい世界がここにあるなぁと。

 

この空間と、いつも同時進行で

生きているはずなのに、

私の空間に、この深い何かは

立ち現れてこない。

 

お茶を、ひとさじ、ひとさじ、

丁寧にはく。

 

丁寧に丁寧に、心をこめて、

時間をかけて

盛っていくあの時間が、

私の今の生活にはなくて…

 

もっと深く、ゆっくりと呼吸をして、

丁寧に世界を見て、今ここに

なじんでいかなくちゃ。

 

そうじゃないと、見えてこない

景色があるのだから…と。

 

お茶のお稽古を続けていて、

本当によかったです。

 

あの静けさが、絵の中にも

にじみでるよう、

絵を描き続けていけたらいいな

 

と思っています。