最初から
わかってはいたことですけれども…
早かったですね〜、二月は
時の流れが。
でも、
時の流れを忘れさせてくれる
桃源郷が、この世にはあるんですよ。
それが、吉田晋彩先生のお茶室です。
ほの暗いお茶室に、
シュンシュンと、
立ち上る湯気…
ほ…
先日テレビで紹介されていたのですが、
お茶室のような、
ほの暗い、
世間から隔絶された空間に、
人が肩を寄せ合って座り、
天然の高揚成分が入った
お抹茶を飲むことで、
脳にスイッチが入って、
非常に癒され、
リラックスできるということが、
科学的に証明されているんだとか。
なるほど、わかりますよね〜。
いや、お稽古では、いつも
すごく緊張するんですよ。
でも、その緊張があるからこそ、
リラックスも深い。
これは…信長、秀吉、家康さんたち、
戦国大名もクセになるはずですよネ。
先生が毎日、2時間以上かけて
お手入れされているお庭では、
翠の苔がふっくらとしていました。
まだ寒い、春先の今が、
苔の、伸び盛りなんですって。
お庭の緑の陰影の中では、
鳥たちが「ピチュピチュ」と
絶え間なくさえずり、
風流だなぁなんて、私たちは
思っていましたが、
彼らは、先生が丹精こめて育てた
椿の花を「おいしい、おいしい」と
片っ端から食べてしまい、
最後に「おみやげだよ〜」とばかりに
フンを落としていくのだそうで、
こればっかりは、先生も、
笑いながらも真剣に
ほんと困っちゃうよとのことでした。
フフフ。
(お軸:久田宗匠
「春入る 千林 ところどころ花」)
お稽古のあとは、
季節感あふれる掛け軸について
先生のお話をうかがったり、
(お軸:要道和尚
「古松 般若を談ず」)
「古い松は、そのままで仏の境地を談ずる」
不思議ですよね。
白い紙に書かれた黒い漢字を
見ているだけなのに、
私たちの脳にはありありと、
イメージが浮かびます。
先生が作陶されたお道具の
細かい模様と、深い翠に
惚れ惚れと見入り…
ときには、みんなで身を乗り出して
古い時代のお茶碗を
ひっくり返して、
ためつすがめつ眺めて
細かい工夫を拝見したり…
楽しい時間を過ごします。
ふう。
さ、また、
日常へ帰っていかねば。
ああ、
2月もあっと言う間で、
何もなし得なかったけど…
こうしてお茶室で過ごした数時間の
写真を見ると、それだけで、
「今月も良い時間が過ごせたんだな。
よかったなぁ…」
って、幸せな気持ちになります。
来月も、味わって生きよう。