ハルシャさんという、南インドのアーチストの
展覧会に行ってきました。
なんと、写真撮影は全点ご自由にとのこと。
最近は、数カ所ならオッケーという所も
増えてきましたが、全点というのは珍しいかも。
他に全点オッケーと聞いて思い浮かぶのは、
岡本太郎美術館くらいです。
さて、ハルシャさんのアートとは、
どんなアートなのでしょう?
しばしご鑑賞ください。
(ここまでで一枚の作品から)
(ここまでで一枚の作品から)
(ここまでで一枚の作品から)
以上の作品は、
大きな画面に、同じことをしている人が
いっぱい描かれている三つの絵。
三つ連なって一つのテーマを唄う、
「三連作」です。
タイトルは
「私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る」
うーん、まさに
私たちは来て、
私たちは食べ、
私たちは眠る。
これ、ワタシのことだ!
面白い…
同じような物を食べていても、
年齢も、表情も、姿勢も、
一人ひとり違うし、
同じような布団で、
同じような格好をして寝ていても、
一人ひとり、みんな違う。
見ている夢も、みんな違う。
個性って、一人ひとり、みんな違う。
人間…
人間ってそういうことなんだ。
さて、この人達は、一体、
何をしているのかしら?
上には鏡。
足元には、上を見上げるたくさんの顔。
そう。
ここでは、思い思いのスタイルで、
自分たちも絵の一部になることができる
仕掛けです。
ということで、↓私も(笑)
それにしても、この群衆の多さ…
それだけでも、インドっぽいですよね。
でも、インドの人も、
私たち日本人と同じく、
一人ひとりに、みんな貌(かお)がある。
私たちと同じように、
この世界に一人でやって来て、
誰かと家族になり、誰かと出会い、
誰かと隣人になり、
毎日食べて、寝て、生きている。
もう、そんな当たり前のことが、
あらためて、面白く、
興味深く思えます。
アートって、こうして、
長く対話のできる絵のことを言うんだよなぁ…
端から端まで見て、楽しんで、考えて、
いろんな物語が浮かんでくる。
それがハルシャの描き出す世界観。
ハルシャさんの背景として、
制作中の様子や、
南インドの「音」や
風習や日常を伝えてくれるコーナーも
あったのですが、
それがまた面白くて、じっと見入って
しまいました。
たとえば、南インドの風習。
ランゴーリー、
自宅の玄関前に、家に神様をお招きする
ための絵を描く風習です。
いろんなランゴーリーがあって、
どれも美しいのですが、
最初はこんな点を打つところから
始まって…
あっと言う間に、
こんな晴れやかで、可愛らしい模様が!
ランゴーリー用の大理石の粉は、
街中で普通に売っているそう。
先ほどの絵に
さらにもう一色重ねて…
これは、その家の主婦がする
決まりになっているのだそうで、
お祭りの日には色鮮やかなランゴーリーも
描くのだとか。
昔、私も子供のころ、母の計らいで、
玄関の前のコンクリート地面に
クレヨンで絵を描かせてもらったものだけど…
あれは楽しかったナ。
母も、色がキレイに発色するからと言って、
チョークではなく、クレヨンで描かせて
くれました。
でも、消すのは大変で、大きなブラシで
ゴシゴシこすりましたっけ。それもまた
楽しかったけどネ。
ランゴーリーは粉なので、
あっという間に消えてしまいそうだけど、
だからまたすぐに描くというのが
神様をお迎えする心につながって
いいですよね。
幾何学模様の美しい繰り返しは、
やはり、なんとなく、インドの奥深さや、
ハルシャの絵にも通じるような
気がします。
ちょっとドキッとする絵もありました。
落ちていくピエロの群衆
タイトルは「溶けていくウィット」
ハルシャ展では、風刺画も多かったです。
宇宙を縫う骸骨さんたち。
タイトルは「神々の創造」
骸骨は、神様だったんですね。
恐い風景なのかもしれないけど、
なんだか、とても惹きつけられる。
なんでだろ?
怖い怖いなんて言って、
私たちも、みんな皮をむけば、
骸骨なんだよね。
骸骨の上に、皮(=宇宙)を着ている。
それが本当の私たちなのかも。
会場の床には、
ときどき、寝ている人の
絵が貼り付けられています。
巨大な宇宙の絵は、
とてもキレイ。
終わりがなくて、グルグルしている。
タイトルは
「ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ」。
輪廻転生を示しているとも。
作品タイトル
「乳搾りが、唯一の道だ」
白い足跡は、ハルシャさんのもの。
みなさん、一心に乳搾りをしていますが、
これは飲むためではなく、大地に
そのまま流して、自然への贈り物と
する風習なんだそうです。
古くから、自分の周りに当たり前に
ある風習を、これだけ新鮮な目で
描けるのは、すごいと思う。
やみくもな礼賛だけでなく、
風刺的な視点も入ってくるのは、
自分のお腹にとことん落とし込んで、
本当によく見て、描いているということ。
だから、訴えかけてくる何かがある。
中には、やせ細って
ミルクの出なくなった牛に
絶望している人も…
「乳搾りが、唯一の道だ」からね…。
これ、日本だと、何が
乳搾りに取って代わるんだろう?
ハルシャ展
たくさん写真をアップしましたが、
私の載せたのは、ほんの一部です。
他にもまだまだ、多くの作品があって、
それぞれの絵がたくさんの言葉で
語りかけてきてくれます。
6月11日(日)まで開催していますので、
興味を持った方はぜひ、
ハルシャのアートに、
耳を傾けてみてくださいね。
鑑賞券は、シティビュー階からの展望券付き。
夜は東京タワーが、
それはそれはキレイに見えます。
やっぱり海が見えると、なんか、
ホッとしますね。
は〜、ココロ、動いた!
良い1日だったなあ。
ハルシャさん、展覧会のタイトルの通り、
チャーミングな旅ができたよ!
ありがとう。